忍者ブログ

[PR]

2024年04月20日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

痛みと痛みの原因と

2007年04月05日
どうも、泰心堂です。
まずは業務連絡、4/11(水)は所用のため休診とします。
既にご予約いただいた方のみ受付、その後移動してしまいます。
皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。

さて、今日のお話は『痛み』と『痛みの原因』と・・・

鍼灸治療には大きく分けて二つの方向性があります。
1.痛みや症状を抑え込むことをメインとする治療。
2.身体を整えて回復力を高める治療

もちろん治療においては1.と2.の両方を図っていくことが大事です。
痛みや不快な症状が強い精神的ストレス、肉体的ストレスになる場合は、強い痛みや不快な症状が出ている部分に対して施術することも必要です。
だので優劣自体はありません。あえて言うのなら視点の異なる話です。

『原因』という言葉を使うとなかなか混乱する話なのですが、東洋医学では病気の原因、即ち『病因』を外因(環境から受ける刺激)、内因(精神感情の状態から受ける刺激)、不内外因(動作疲労など身体的な刺激と外因内因でないもの)の三つで考えます。これらが単体あるいは複数がバランスを崩れると体の弱い部分に症状として痛みや不快感が現われると考えます。

別に、東洋医学的には○○筋の疲労とか緊張とかはただの付随する現象であって原因とは考えないのです。
だので大元の原因(『病院に負ける身体の状態』)を解決すれば自ずと枝葉(付随する)の症状は治まるはずです。

・・・と考えるのが『東洋医学的な鍼灸』。この場合は痛みや不快な症状が強い場合は『急』であると考えてまず『標』(症状などのサイン)を解消するような治療=1.を先にして、ついで大元の原因に対してアプローチ=2.します。
症状などを抑えることが急務でない場合、『緩』であると考えて『本』=大元の原因に対して治療すること=2.を考えます。

これがまあ、原則ですね。

西洋医学的な鍼灸だと原因というのがもっと具体的な症状の出ている部分の問題が取り上げられます。それこそ○○筋の緊張。○○神経にたいする圧迫とか。この場合は主として筋肉が固まっている部分に対して鍼を入れたりして刺激をすることを考えます。多くの場合1.の治療に近くなります。

私はどちらのタイプ化というと東洋医学的な鍼灸ですね。なので一部の禁忌と言われるものをのぞいてどんな病名がついていても治療できます。だって、病名で治療しているわけではありません。あくまでそのときのからだの状態で治療をしていますから。

鍼灸治療はこんな方向性があるよと書いたところで痛みと痛みの原因に関する問題を書いていきましょう。

少なくとも私は痛みの解消=治癒とは思っていません。
たとえば坐骨神経痛などで痛みが厳しい人がいる。その痛みがある近辺に鍼を刺し電気を流すこと数十分。これだけで痛み自体はおさまります。『鍼鎮痛』『鍼麻酔』というやつです。『ニクソン訪中』の前後から手術のときに鍼灸を使えないかという研究が行われ科学的に、この現象は起こることが確認されました。
しかしながらこれは単なる痛み止めです。しかも効き目の個人差がものすごい大きい。三日も続く人もいれば30分で終わる人もいる。
もちろん痛みが一時的にしろおさまるので、苦痛による『精神的な刺激』、『肉体的刺激感』が減ります。その結果回復に必要な力がそこに回さなくてすむので組織の修復が進むことも考えられます。
なのでまったく意味がないとは言いません。
が、それだけで十分とも思えません。

やはり『痛みが再発しない、再発しにくい身体作り』をする必要があると思います。
これに必要なのは次のもの
1.生活習慣の改善
2.生活動作の改善
3.治療

バランスよく食べていなければ血肉となる栄養素が足りなくなりますので身体の修復力が落ちます。また寝なければ身体の修復時間が足りなくなる。動かなければ血液を介して隅々までエネルギーがいきわたらない。
規則正しい、健康的な生活は重要な要素になります。

腰痛が悩みと言いながら腰に負担の掛かる動作をしているのではなかなかなおりません。ある程度まで進んでいると思ったら筋力強化を含めて生活動作を変えていく必要もあります。
これらが自分でできれば、これだけでも治ることがあります。

・・・とは言え、負担をかけたままの状態を長く続けるのはよろしくないので『治療』をすることで身体のバランスを整え、動きやすくすると同時に、過剰な防御反応を解除したりしてあげます。すると身体は良く動くようになるので生活習慣自体も少しずつですが変えていきやすくなります。
また定期的にメンテナンスがたら治療をすることでより良い状態を保ちやすくなるので、大きくバランスを崩すことがメンテナンスしていない状態よりも減ります。
結果、再発しない身体、あるいは再発しにくい身体、または再発しても程度が軽くすむ身体になっていきます。この三つの何れかになるかは本人の生活と回復力あとはどれくらい治療に取り組むかに掛かっています。

では、再発しにくい『回復力の高いからだ』をどう作るかと言うと・・・
これを作るには『痛みを抑える治療』よりも『身体を整える治療』が大事になってきます。身体を整える治療を行い、患者自身が自分の身体がどう変わるのかをきちっと意識できるようになるにつれて、自分の身体が自分の感覚と一致していきます。すると自分の身体に優しい生活というのがわかりますし、他人との距離感もなんとなくはかれるようになってきます。
そこまで達することができ、再発がある程度の期間、確認されなくなって治療は終了です。あとは自己管理に移るか、定期的なメンテナンスを行っていくかの選択になっていきますね。

さて、治療を継続していくと、ま右肩上がりの回復と言うのが一番望ましいのは望ましいのですが、これはなかなか難しい。
身体は右肩上がりの回復でも、感覚的に症状が増えた、あるいは悪化したような状態を経験することもあれば、実際に身体の状態が落ち込んでいく場合もあります。
前者は治療を始めた時点で皆さんの『身体の状態と感覚が不一致』であることからおこる場合が多いです。
後者は治療を受けている間にも様々なストレス(刺激)を受け続け、気分的に落ち込んだりと精神的な不安や身体的な疲れを溜め込んでしまうことによって後退してしまう場合です。ただ、これは生活習慣を見直すことで改善する場合が多いので、治療と治療の間に大きな刺激となる事柄がなかったかを良く聞いて考え、変えてみることで快方へと向かっていきます。

問題は前者ですね。
人間は「咽もと過ぎれば熱さを忘れる」ではないですが、『一番強い痛み、強い不快感を優先して感じる』ようになっています。なので長く患っていた方ほど様々な症状が実は解決されずに折り重なっています。治療をすることによってそういった病の薄皮がはがれると、今まで感じていなかった(以前は感じていた)痛みや不快感が感じられるようになってきます。
これは別に変な話ではなく、どちらかと言うと『現在の症状に至るまでの過程を逆に辿っている状態』と考えていただけるとありがたい。
こういう状態の場合、身体の状態はこちらで診ていてかなりいい方向に進んでいても本人の感覚としてはあちこちに症状が『新たに出てきた』ような感覚になり、混乱してしまう場合があります。実は既にそこにある、もしくは今きつい症状の下地として隠れている症状だったりします。
大事なことはそうやって様々出てくる状態がどう変わっていくのか、治療の中での変化、生活の中での変化をしっかりと捉えていくことです。
きちっと捉えることができるようになると、自分で身体の状態がどうなっているかがわかってきますので自然と回復力が高まってきます。

感受性の高い人ほどこの現象は起こりやすいので、これが起こったら逆にしめた!と思うくらいで良いと思いますね。

ま、治療者の悪いところですが、こういう状態が出てくると治療者としてはこっそり「よし、治療のベースに乗ってきた」とか思っているんですが、それを患者さんに伝えないなんてことがあります。たぶん原因は「なれ」なんだと思いますけどね。
一人ひとりが違う人間で、違う患者さんなんですからちゃんと伝えなければなりませんね。この辺をちゃんと伝えないと患者さんは不安になってしまいます。
私も、気を付けたいと思います。

治療者によって治療法や治療の狙いは異なります。だのであくまでもこの考え方は泰心堂はりきゅう院、および院長である私自身の考え方であると書いて結びとさせていただきます。
PR
Comment
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Trackback
トラックバックURL: